成功を求め、ひた走ってきました。ですが、孤独です。
人間はみな自己中心的です。だから意識するしないにかかわらず、自分のことを最優先に考えてしまいます。
人間である限り、まず自分のことを最優先に考えてしまうのはしかたありません。
しかし、自分のことばかり考えていると、次第に自分から周りの人が離れていき、気がついた時には、独りぼっちになってしまいます。
大手企業に勤めているある部長さんと食事をした時、こんなことを言われました。
「自分は、仕事が人よりもずっとできる。出世も早かったし、若いうちにマンションだって購入した。経済的にもそれなりに蓄えがある。だけど、なんか孤独なんだよ」
「そんなにうまくいっているのに、どうして孤独なんですか」
と聞くと、
「自分がこれまで必死になってアイデアを出したり、努力して、いろいろな企画を通したりしてきた。それなのに、ねたんだり、うらやましがったりするやつはいても、一緒に苦労してくれたり、喜んでくれる仲間がいないんだよな。いつも独りでやってきたんだ」
この時、部長さんはだいぶ酔っていたのでしょうが、本音でした。
仕事はうまくいっても、心は満たされないのです。「誰よりも前に」とトップを走っているつもりが、気づいたら、周りに誰もいなくなって、独りで走っている自分に気づいたというのです。
それから、部長さんは、これまでの自分の苦労話をとめどなくされました。
入社したばかりの頃は、寝る間を惜しんで働いた。好きでもないゴルフを接待のために一生懸命練習した。頭の固い上司とケンカになりながらも、企画を納得させて通した。トラブルが起きた時は、自分が責任をとって取引先に土下座して謝った。今のこの部署だって、俺が作ったようなものだ――。
聞けば、人一倍の努力をされてきたのですが、この方の話の中には一度も、自分以外の人が出てこないのです。「全て自分が、俺が」という話ばかりでした。
そこで、こう聞いてみました。
「本当に血のにじむような努力をしてこられましたね。でも、あなたのお話は、全部自分のことばかりですね。例えば、同僚や部下に喜んでもらえたとか、感謝してもらえたとか、自分以外の誰かを喜ばせた、ということはなかったのですか」
怒るかなと思って、そっと顔色をうかがうと、苦笑いされながら、
「そうだよね。だから、寂しくなっちゃうんだよね」
と納得されていました。
仏教では、オレが、オレがと自分のことばかりで頭がいっぱいになってしまっている状態を我利我利(がりがり)といいます。
そして、我利我利な人は、不幸な人なのだといわれます。
「我が利益、我が利益」ということですから、自分のことばかりで、他人のことなどおかまいなしの状態です。
たとえ物質的には恵まれても、独りぼっちになってしまいます。
なぜなら、自分のことしか頭にない人の、そばにいたいと思う人はありませんから、みんな離れていきますし、心の中に自分しかいないのですから、たくさんの部下や社員に囲まれていても、やっぱり独りぼっちになってしまいます。
では私たちは、どうしたら心が満たされるのでしょうか。
お釈迦さまは、
「自分のことしか考えていない人は必ず、独りぼっちになってしまうのだよ。だから、周りの人の幸せを思いやりなさい。そうすればあなたの心は満たされるのだよ」
と教えられています。
家族や友達、仕事の仲間の成功や幸せを、いつもよりも少しだけ多く思いやってみましょう。
家族や友達の喜ぶ姿が心にあれば、独りでいる時も、あなたの心の中には、それらの人たちの笑顔があふれるはずです。
こちらからメールアドレスを登録すると、レポートと音声ファイルのダウンロードURLが届きます。
今すぐ登録してブッダの智恵を受け取ってください。