今の会社に入って10年たちます。
うまくいかなかったり失敗したりすると、自分が全部悪かったんだと思って、ものすごく自分が嫌になり、落ち込んでしまいます。
「自分に自信が持てない」という相談をよく受けます。失敗した時、叱られた時、傷つくことを言われた時は、誰でもつらい気持ちになります。
そして、つらい気持ちを何かにぶつけたくなります。
そんな時、人間は大きく分けて2とおりに分かれます。
1つは、他人にぶつけるタイプです。失敗を全部他人の責任にして、周りの人を責めてしまう人です。
もう1つは、自分にぶつけて、自分を必要以上に責めてしまう人です。
自分のことを棚に上げて、他人を責めるタイプの人は、知らないうちに周りから嫌われてしまいやすいのですが、あまり自己嫌悪で悩むことは少ないかもしれません。
ところが、「全部、私が悪いんです」と必要以上に自分を責めてしまう人は、いい人だと思われるかもしれませんが、自分に自信が持てずに独りでくよくよ悩んでしまいます。
本当に自分に問題があることなら、よく反省して直さなければならないのですが、何でもかんでも「自分が悪い」「自分の責任だ」と思うのは、いたずらに自分を傷つけることですので、よくないことです。
33歳の女性Fさんの相談を受けた時のことです。
「今の会社に入って10年たちます。うまくいかなかったり失敗したりすると、自分が全部悪かったんだと思って、ものすごく自分が嫌になり、落ち込んでしまうんです」
責任感が強く、真面目そうな人でした。
そこで、どんな時にそう思ったのかを詳しく聞きました。すると、その人のミスもありましたが、中には上司の指示の間違い、取引先の勘違い、後輩や仕事仲間の失敗もあるようです。そこで、
「全部自分の責任だ、全部自分が悪いんだと自分を責めてしまうんですね。でも、本当に全部あなたが悪かったんですか」
と聞いてみました。すると、
「全部というわけじゃないんですけど……」
と言葉を濁しました。
「じゃあ、全部ではなくて一部が悪かったんですね。何が悪かったのですか」
とさらに尋ねると、
「そうですね……。キチンと取引先の要望をスタッフに伝えていなかったり、うまく進んでいない状況を上司に伝えていなかったり、説明が言葉足らずだったりしたところが私の反省点です」
と、とても冷静に答えてくれました。
「じゃあ、全部じゃなくて、そこだけ反省すればいいのではないですか」
と指し示すと、
「そうか、そう考えればいいんですね。いつも必要以上に自分を責めてばかりでした。ありがとうございます」
と明るく答えてくれました。
Fさんは、自分の反省すべき点が分からず、むやみに自分を責めていました。ところが、「全部でなくて、一部を反省すればいいんだ」と気づくと、とても明るく元気になれたのです。
「自分はダメなんです」ということをしきりに言う人がよくいます。自分に自信が持てず、その不安な気持ちを分かってほしいからなのでしょう。その気持ちをよく聞いた後に、
「私は全然、ダメとは思いませんよ。どこがそんなにダメだと思うんですか」
と具体的に聞くと、
「ここと、ここと、こういうところがダメなんです」
と具体的にハッキリ答えられる人はあまりいません。ただ何となく自分はダメなんだと思って、本当はダメじゃないところまでも責めてしまっているのです。
まずは本当に自分が反省すべき点をハッキリさせることが大事です。あとは問題ないのですから、むやみに自分を責めずに済みます。そして、自分自身を受け入れられるようになります。
もし、あなたが「全部、自分が悪いんだ」と自分を責めているとしたら、それは本当に反省しなければならないところがハッキリしていないからです。
全部が悪い人間なんてこの世に存在しません。どんな人であっても、反省すべき点は一部しかないのです。
こちらからメールアドレスを登録すると、レポートと音声ファイルのダウンロードURLが届きます。
今すぐ登録してブッダの智恵を受け取ってください。