感謝がだいじなのはわかっているのですが、どうすれば感謝の気持ちが起きてくるのかわかりません。ひとに感謝できない私は欠陥人間なのでしょうか。
よく「感謝ができない」という悩みや相談を受けることがあります。
子供の頃から、学校や両親から「感謝しなさい」と教えられてきました。いろいろな自己啓発書の中にも、「何事にも感謝しよう」と書かれています。
ですが、「感謝しなさい」といわれても、「どうしたら感謝する気持ちになれるのか」ということについて、教えてくれる人は少ないのではないでしょうか。
どうしたら感謝できるのかが分からない人に「感謝しなさい」と言っても、どうしようもありませんね。
感謝ができない自分はダメ人間だと思って、落ち込んでしまうかもしれません。
お釈迦さまはこれについて、「知恩」(ちおん)「感恩」(かんおん)「報恩」(ほうおん)の3つを教えられています。
・知恩(ちおん)は、恩を知ること。
・感恩(かんおん)は、恩を感じること。
・報恩(ほうおん)は、恩に報いることです。
「恩」という字は、「因」と「心」からできています。言い換えれば、原因を知る心が「恩」なのです。つまり、今の自分が生きているのは、さまざまな人や物のおかげを受けている。それを知るのが恩なのです。
感謝ができないのは、そもそも自分が受けている「おかげ」を知らないからです。自分がいろいろな人や物に支えられていることを知れば、「ありがたいな」「うれしいな」という感謝の心がわいてきます。
だからまず、知恩(自分が支えられていることを知る)が最初です。
そうすれば、必ず感恩(感謝の気持ち)がわいてきます。
すると、「自分を支えてくれた人のために頑張ろう」という気持ちになる。これが報恩です。
このようにお話しすると、「自分は誰からも支えられていない」「してもらったことなんて何もない」と思う人もあるでしょう。
そこで、これに関して、面白い心理学実験の結果をご紹介します。
アメリカのある心理学者は、400名の人たちを対象に、こんな研究を行いました。
「人にしてあげた行動」と「人にしてもらった行動」をそれぞれ書き出させたのです。
その結果、書き出した行動の比率はなんと、35対1でした。
つまり、人間は「してもらったこと」よりも、「してあげたこと」をはるかに覚えている生き物だということです。
ある女性の方から、
「私は彼のためにこんなに尽くしてきたのに、全然感謝してくれないんです」
という相談を受けました。その彼に、念のため話を聞いてみると、
「どれだけ彼女の愚痴話を聞くために時間と電話代を使っているか。それを全く感謝してくれない」
とぼやいていました。
人間は35倍も「してあげたこと」を覚えている生き物ですから、いきなり「感謝しろ」と言われてもできません。
感謝できないのは、自分が支えられていることに気づかないからです。それを知れば、誰の心にも感謝の心が芽生えます。
だから、お釈迦さまは、まず恩を知るという「知恩」(ちおん)を最初に教えられています。そうすれば必ず、感恩(かんおん)、そして報恩(ほうおん)が続くのです。
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