ほとけさまのお悩み相談室

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つらい思い出から抜け出せずに苦しんでいます

Q. お悩み

過去にとてもつらいことがありました。ずっとそれにとらわれていても仕方ないのは分かっているのですが、あまりにつらすぎて、前を向けません。

A. お答え

事実は変えられませんが、受け止め方は変えられます。

私たちは、悲しい出来事や、つらい思い出、失敗してしまったことを、今に引きずってしまうことがあります。

「どうして、あの時、あんなことを言ってしまったのだろう」
「あの時、あんなことをしなければ……」
といつまでも過去の失敗を悔やんだり、失ったものがあきらめきれずに、ずっととらわれたりしてしまうこともあります。

そんな時、どうすればいいのでしょうか。

これはとても難しい問題です。
なぜなら、過去の出来事は、もう起きてしまったことで、その事実を変えることはできません。
どれだけ、なかったことにしようとしても、なかったことにはできないからです。

しかし、過去の事実に対して、今、あなたが、どう受け止めるかは変えることができます。
もし、過去のつらい出来事を、少しでも意味のあるものと受け止めることができれば、それは、今のあなたの生きる力になるでしょう。

こんなことがありました。

私の講座に、70歳過ぎの男性が参加されました。
その方は、2年前に奥さんを亡くしてしまい、悲しさと寂しさで、生きていく力がわかなくなっていました。
私は、苦しい胸のうちを聞いたあとで、こう語りかけました。

「本当に、奥さんを愛しておられたんですね」

「いなくなってから気がついても遅いですね。もっと、大事にしてやればよかったと後悔しています」

「夫婦といっても人間ですから、どちらかが先に死んでいかなければなりません。もし、奥さんではなくて、あなたが先立っていたら、今頃奥さんは、独りぼっちだったんですね」

私がこう言うと、うつむいていた男性は、パッと顔を上げました。

「そんな。あいつは、寂しがり屋だったから、独りだったら生きてはいけませんよ」

「でも、夫婦なら、どちらかが先に亡くなって、取り残される寂しさを味わわなければなりませんよ」

「でも、あいつには、とてもそんなこと耐えられないと思います」

「では、あなたの今の寂しさ苦しみは、奥さんが耐え切れなかったはずの苦しみを、肩代わりしてあげていることになりませんか?」

こう言うと、男性の表情は、一変して明るくなりました。

すべての事実は意味のあるもの

後日、再び私の講座に参加された男性は、

「先生、ありがとうございました。家内は、どうして自分を置いて逝ってしまったんだと、くよくよしていましたけれど、家内の代わりに私が独りで生きているんだと思ったら、なんだかそばで応援してくれているように思えてきました。最近では、地域のボランティアにも参加しているんですよ」

と快活に語ってくださいました。

長年連れ添った奥さんを、先に亡くしたという悲しい事実は、変わらないのですが、それを、
「どうして自分を置いて先に逝ったのだ」
と受け止めていたのを、
「愛する妻が、独りぼっちになるところを、今、自分が肩代わりしているのだ」
と受け止め方を変えることによって、この男性は、今を生きる力を得たのです。

私たちの人生には、どんな人でも、つらい過去や思い出があります。

起きてしまった事実を変えることはできませんが、その事実をどう受け止めるかは変えることができます。

その事実を、意味あるものと受け止めることができれば、つらかった過去の出来事でも、あなたを活かす力になるのです。

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